アーカイブ :2010年07月 こんな日は月でも観に行こう
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こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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すきのないスキなもの

如意根付の迫力は、360度すべてに彫刻を施しているところにあります。八方隙のない造形にこだわるところに数寄の興趣があります。

彫刻の歴史長くあれど、360度どこから見ても彫刻されているのは根付以外に類例がありません。だから置いて眺めるのではなく、手にとって眺めることで全体が見ることができるのです。掌で根付を回転させて、裏側を見るとき誰しも少しの緊張と興奮を味わうことができるでしょう。

普段では見ない裏側にこそ、作者の技や、遊び心を、さりげなくしのばせることができるのです。そこに数寄の精神があるわけです。彫刻でも絵画でも正面から鑑賞することが大前提で制作されます。仏像でも正面の精緻な仕上げに対して背中側は随分あっさりしています。仏師たちは皆、背面から拝むことを想定していませんでした。彼らが最近の展覧会で、背中も鑑賞させる陳列方法を知ったら、さぞびっくりすることでしょう。

根付はどこからでも鑑賞することができるよう、どこにも隙をつくらずに、数寄を凝らさねばなりません。

写真は金魚が思いのままに自由に空を泳ぎ回るイメージのポストカード。そういえば以前前世占いというものをしたら、私は浅草の金魚屋で鉢の中を泳ぐ金魚だったそうです(笑)。いつか大空を泳ぎたいものです。

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