アーカイブ :2013年02月 こんな日は月でも観に行こう

こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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琥珀色の時間

作家の愉しみは、私の手を離れた作品に出合ったときにも訪れる。
時間が経つとともに、ご依頼者の手になじんでいく成長ぶりを見る喜びである。
先日あるお客様とお会いしたら、「作品が自然と色づくんです。ふいてもまた色が出てくるんですから不思議なんですよ」と。そのあと送られてきた写真を見て私も驚いてしまった。
その作品は私が3年前にお納めした「夕顔」である。源氏物語の夕顔を題材にした作品で、私にとっても思い出深い代表作のひとつである。ブログでの公開の許可をいただいたので紹介させていただくこととなった。

私はご依頼品の場合、ブログでは表側だけを紹介して、裏面はご依頼主だけの楽しみにして公開しないことが多い。その裏側だけに変化が起こったのである。
裏側の全体のシルエットは夕顔の花、ほんのり色づいた姿は、常夏の黄昏に色づいた一輪の花、光源氏との運命的な逢瀬を彩る一刻の光。まさに琥珀色の時間を伝える雄弁な証言者。
私の浅はかな作為を超える、作品の変貌ぶりに驚き、また嬉しくも思った。さらにはそのことを熱く語っていたお客様の紅潮した表情が何より嬉しかったのである。

少し付け加えると、ご依頼主から後ろにどくろを彫ってほしいとの要望があったので、夭折した夕顔の運命、時の神を象徴して真ん中にどくろを配している。
また夕顔が光源氏に送った歌

心あてに それかとぞ見る 白露の光添へたる 夕顔の花

この歌からの連想で、夕顔に添える白露の光(光源氏の暗示)を噛み砕こうにも噛み砕けないどくろの困り顔という滑稽さも大切な要素として加えた。

作品とは作家だけが作るものでなく、作品を愛する人の手によって磨かれ育まれるものだと改めて思わずにはいられない。作家といる時間より、持ち主とともに暮らす時間が長いのだから当然かもしれない。私はその時間のきっかけに過ぎないのだから、今持てる力をすべて注ぎこんで作品を生み出したい。

夕顔3

2013年2月24日「夕顔」裏

2013年2月24日サイド

追記:この夕顔は写真に少し写っていますが、源氏物語に合わせた巻物の緒締めと源氏車紋様の巾着、さらには組紐も別注になっています。車輪は絶えず廻ることから浮世の流れ、輪廻を表すとされ、夕顔のはかない最期を象徴しているようです。現代根付を実用するからこその凝りようです。
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