アーカイブ :2015年04月 こんな日は月でも観に行こう

こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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平面的ながら多層的な遠近感について

最近作品の紹介ばかりなので、今回は技法からみた鑑賞法をコラムにしました。
大和絵にはさまざま不思議な要素があり、そこが魅力でもあります。そのなかで絵巻物や洛中洛外図によく見られる、横にたなびく雲や霞について話してみたいと思います。それは「すやり霞」とも呼ばれ、見慣れた私達には別段変わったものではないのですが、その効果は西洋の透視図法(遠近法)に匹敵する絵画表現を生み出してきました。

まずは一枚の絵画の連続性を保ちながら時間や場面などの情景、物語性をいくらでも詰め込みことができるという効果です。絵巻物のように紙を継いでいけば、霞を入れることでどこまでも絵を繋げていくことができます。また掛け軸では上へ上へ書き足していけます。そこには西洋における額縁という概念がありません。

第二に透視図法との大きな違いですが、視点が固定されることなく、常に上空から眺めているかのように場面を行ったり来たりすることができます。遠近法の奥に向かう意識とは別に、興味のある対象をいつも間近に見せることができます。

第三に霞や雲のあいまいな形が余白として画面にメリハリをもたらします。平面的なはずなのに強弱が生まれ絶妙な遠近を感じませます。場面を層にして積み重ねていても、また対象の大きさが違っていても違和感を感じさせない万能薬です。

遠近法ではなく遠近感を大切にしていると言えます。西洋の写実では生みだすことのできない価値観であり、大和絵特有の深化を遂げた手法です。

他にも土坡や州浜など同じ効果をもたらす技法が見られますが、なぜ発達したのか考えてみると、
科学的観察に基づく厳密な表現方法による表層的な美しさと、情感の動きや対象との関係性を大切にしてきた内在的な美しさを求めた違いからではないのかと思います。西洋において遠近法や重力から解放されるのはシュルレアリスムなど近現代美術の重要なテーマでした。西洋に先んじた日本人の美意識といっても過言ではありません。

まだまだ話し足りませんが冗長になりますので、この辺で。
そんな先人の絵画技法を根付彫刻に応用させたのが「聖火冬勲」です。根付は単なる小彫刻でなく、文化の集約だと思うのはこんなときです。

聖火冬勲 背面
聖火冬勲 背面
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