見返り美人 こんな日は月でも観に行こう
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こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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見返り美人

空観 雀見返り美人といえば菱川師宣の美人画が有名です。江戸初期に活躍した彼の代表作となるこの作品は当時の流行した風俗を伝えるばかりでなく、人物表現に画期的な特長がありました。

それは女性像だけでなく、感情や風情など画面の外にまで広がる物語性です。
女性が前に行こうとする足とは反対に腰から上は後ろにのけぞり、不安定な姿勢です。重心が傾いて静止の姿勢が難しいことから、連続した動きの瞬間であることが分かります。日常のなにげない場面から、静かな躍動感と緊張の一瞬を切り出し、まるでドラマを見せるように我々を画面に引き込みます。遊女と思われる粋な着こなしの女性が振り向きながら見つめる先は男性でしょうか、離れがたい情念か、今後を案じる不安なのか、いろいろなことを想像させます。

明快な描線で女性の哀惜の念を見事に表現したところに、師宣が「浮世絵の祖」と称される所以があります。

さて、この作品にみられる女性の感情表現に大きな効果をもたらしているのが「ひねり」です。

根付の造形によく応用される基本構造ですが、この見返りは作品の味わいに幅を持たせ、想像力を刺激します。

今取り組んでいる作品の「雀」ですが、ご注文された方と雀との心のやり取りを感じた心暖まるエピソードがもとになっています。この見返り雀がいつも視線を投げ掛けているのは、その優しい主人に対してであることは言うまでもありません。

| コラム | 16:30 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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