触覚の誘惑 こんな日は月でも観に行こう
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こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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触覚の誘惑

空観 兎彫刻というものは当然3次元の世界ですが、この魅力というものは写真や文章では伝えることが難しいものです。

眼前に作品があってこそ、その作品の魅力を確認することができます。見ていると作品のフォルムの持つ豊かな表情や動きそうな勢いなどを感じます。今度は見ているでなく、触ってその起伏や温度、質感を確認したくなります。それは興味のある対象からもっと多くの情報を得ようとするごく自然な生理的欲求といわれます。持つことで自分のテリトリーのなかに引きずり込み、親密感を抱かせ、より対象を身近に感じさせることができるからです。

手にしたくなるような触覚の誘惑。根付にはその魅力が確かにあります。鑑賞者と作品の間のこの近さは根付の特長です。写真ではもっと大きなサイズでイメージしていたという方が掌の上で本物を見たときの大きさのギャップに驚くということはよくあります。作品をいろいろな角度から見たときの連続したフォルムのつながりに面白さを見出せます。触った時の重量感や素材の温度など新しい発見はつきません。
柔らかそうだけど、固いなとか。割りと冷たいなとか。手にすいつくようだなとか…。考えるというのではなく感じます。

彫刻はとくに本物を見ないとその魅力は伝わってきません。とくにそれを感じたのはローマでベルニーニの作品を見たときです。忘れもしないのはボルゲーゼ美術館にあった「プロセルピナの掠奪」です。そのなめらかな質感、圧倒される迫力にしばし時間を忘れてしまいました。

触覚の誘惑とは彫刻に許された美の魔力です。

| コラム | 06:58 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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