根付の着色 こんな日は月でも観に行こう
FC2ブログ

こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

根付の着色

ヤシャブシ根付の仕上がりを左右するマチエールのひとつに色つけがあります。マチエールはもともと油絵の具を手で混ぜ合わせていた時代の名残で、その名人をメチエと読んでいたことに由来します。現在では素材や材料による美術的な効果を指します。

根付のマチエールは作家の考えかたや題材の意図によって様々あります。
象牙の場合、色合いが肌色に近い白なので、着彩してもよく映えます。フィギアやバードカービングのようにリアルな色彩を施すと対象を鮮やかに甦らせて、説明を要しないほど雄弁に鑑賞者に語りかけます。バーチャルな世界ほど、リアルな錯覚を強要します。驚くのはその再現性です。

私の場合は色が必要な場合は象篏をして、ごくシンプルな染めしかしていません。天然のヤシャブシ(夜叉五倍子)による煮出した染め液に浸しながら調整しています。
顔料を使用した色彩は苦手ということもありますが、色彩に頼らないで、表面の彫りの深さを変えたり、模様を入れたり、艶出しや粗しなどのマチエールで変化をつけています。
彫刻の面白さは造形の妙にこそあって、色彩はかえって観る人に先入観を与えてしまう虞があるからです。色彩のない陰影の世界に鑑賞者が入り込み、自由に想像力を広げられるような作品を作れたらいいなと思います。

と同時に、効果的な着彩の方法も探っていきたいと思っていますが遅々として進んでいません。

現在のようなメディア社会では情報は与えられるものとして慣れてしまうと、自分から情報を読み解こうとしなくなるものです。今や空想や想像は訓練と体力がなければ難しい時代になってきたのかもしれません。

写真は染めに使っているヤシャブシ。最近は花粉症の原因にもなっているらしい厄介者です…。

| 創作ノート | 16:40 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT