彫刻家の眼 こんな日は月でも観に行こう

こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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彫刻家の眼

先日「彫刻家になるには」ということで彫刻家の立体の捉え方を紹介した。今回は具体的に説明していこう。

画家の眼まず、形而下の物体は全て立体として高さ、幅、奥行きで測ることができるのはご承知のことではある。絵画ではその物体が平面上あたかも存在しているかのように描くために遠近法が生まれた。例えば左図の通りである。

絵画における遠近法とはレオナルド・ダ・ヴィンチがこのように述べている。「絵画は、触れることのできぬものを触れられるように、平らなものを浮き上がっているように、近いものを遠いように思わせる奇跡さながらである。」

このように絵画とは平面を3次元的な空間と錯覚させることということができる。しかし彫刻は3次元である立体でありながらその立体の捉え方には違いがある。

彫刻家の眼
彫刻における遠近感とは物体の中心線から同心円的な距離感を指し、彫刻を回転または違った視点から見ることでその距離感を面として認識することができる。そこには時間の経過があり、その時間の感覚のなかで物体の量感や動勢を見いだす。

彫刻の中で素材となる塊から彫りだす場合、正面と側面、または上面を描いて進めるのが一般的で単純な方法であるが、さらに言えば、彫刻家はその間の斜めの角度からのつながりを如何に美しい曲線でつなげていくかに心を砕くものである。

そのため立体のなかの回転軸または中心線、あるいは重心を見つけようとするものだ。ここでは便宜上、中心線と総称するが、この線からの距離によって凹凸が生まれ、面と面との継続した流れや強弱がつくことで立体特有の美しさを感じさせる。また中心線の傾けたり、わざとひねったり、S字曲線にすることで複雑な効果を観る側に与える。
人が彫刻を観る場合、自然とそうした見方で鑑賞しているはずである。

さらには、彫刻は眼の前で触れられるものを触れることができるようにしながらも、現実の世界を超えるような存在感を与えさせる神秘だといえる。

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