月刊 教育美術に作品が掲載されました。 こんな日は月でも観に行こう

こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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月刊 教育美術に作品が掲載されました。

教育美術 9月号私の古くからの友人である大西弘祐君が根付を美学的な立場から論及した「根付における『触覚』について」が月刊誌で掲載されました。この機関誌は創刊から80年にわたって子どもたちに美術を通して豊かな情操と想像力を育むことを目的にした月刊誌です。(「教育美術」9月号 No.891 出版社サイトはこちらです。)

そのなかで根付独自の美意識を、美術史家アロイス・リーグルの視知覚の概念に準拠しながら、触覚と視覚のせめぎ合いと位置付け、鋭い論評を加えています。

内容を簡単にまとめますと、根付の意匠が丸く滑らかにまとめる触覚の快さから、次第に視覚的要素の取り込み、根付の造形に一層の磨きをかけ、単一像から複合像へと進展しました。また群像の織りなす世界「物語」を取り込み、見ることから始まる驚きを増やし、さらに発展を促しました。

根付の意匠の変遷を美術史の流れにあわせてまとめた上で視覚と触覚の相乗効果による新しい美意識の創出にまで言及しています。

そのなかの私の作品が紹介された箇所を引用いたします。
以下長くなりますが、本文からの引用です。

夕霧 空観「さて、根付の制作者は、根付を視覚に訴える方法として、色による明暗や質感・主題の強調といった主に色覚の差異による表現に深く気を配り(写真「夕霧」)、他方、触覚に訴える方法として、根付の基本的な形状である丸みに添うように、対象を変形させたり湾曲させたりして、物質的な心地良さを作りだすために考えをめぐらせる(写真「如意」)。
nyoi.jpgそしてこれら一見すると互いに反目しあう視覚と触覚の観点を考え合わせ、全体のフォルムを手に馴染みやすい形状にまとながら、その中で視覚的な訴求が図られる。手に馴染みやすい形状とは、丸みを基調にして根付を握りこめる大きさにつくり上げることである。

握り込める大きさは、根付を手に取る者に、掌に全てを納めさせることで安心感を与える。さらに、ディテールの全てを把握させ、また全体の凹凸の変化を指先で感じ取らせることによって、根付のイメージをより広げさせることができる。対して、根付が大きくなれば、ディテールや凹凸の全てを一斉に把握することはできず、根付に触れられない部分は触れること以外の何らかのイメージで補わねばならない。その結果、触覚によって想起されたイメージは拡散し、手に取る者に不安感を与えてしまう。根付はこのように手に馴染む大きさに整えられながら、色彩が施されたり色彩に頼らない凹凸や大小などの形態の特徴を以て、コントラストが付けられていく。根付はあたかも視覚と触覚が対話、あるいは超克しあいながら高次な融合を目指すかのように、制作者の手によって、もうこれ以上手が尽くせない精妙かつ完全な彫刻として完成する(写真「隗始 メデューサ」)。」
隗始 メデューサ

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