空観解体新書 その1 第一印象 こんな日は月でも観に行こう
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空観解体新書 その1 第一印象

私の作品では、造形的な効果を一番大切にしています。根付の第一印象に決定的な影響をもたらすからです。

今日は、「空観解体新書」と題して、フォルムや構図によって受ける印象について話します。

まずは歴史的な流れから、古代エジプト時代(BC3000~)の彫刻では左右対称、正中線( 体の中心を通る線) が直立しています。それに対し、ヘレニズム期(BC323)以降のギリシア彫刻は腰をひねり、わざと重心をずらし体全体をS字にすることで動きを出し、有機的な造形を特徴とします。
これはコントラポストと呼ばれ、ギリシア彫刻からミケランジェロによって西洋彫刻に連綿と引き継がれました。美術における線の効果についてイギリスのウィリアム・ホガースは、『美の分析』(1753年)のなかで波状線(waving line)を「美の線」、蛇状線(serpentine line)を「優美の線」と記しています。

また仏像の誕生にはシルクロードを経てギリシア彫刻の影響が認められるのはご存じだと思いますが、日本の仏像においても、三曲法(脚、腰、頭をひねり傾きを付ける技法)となって伝わりました。

netsukemagic.jpg

根付においてもこの正中線をひねることで、掌中に収まる形状と、造形的な面白さが加わり、さらには、実寸のサイズを超える大きなスケール感を出すこともできます。

このひねりを図を見て説明します。
Aの赤いラインは物理的な正中線であり、楕円形の長さと同じです。
BではS字にすることでAよりも長く感じられます。従来の彫刻の考え方です。
Cでは螺旋状にすることで、長さはどんどん長くなります。巻き方が多くなれば無限の長さになります。

このCの赤いラインを構図に応用したのが根付です。360度どこから見ても彫刻を施すため螺旋での構図を応用することが根付の特徴になります。

ひねりを加えるメリットは2つあります。
1.ひねりで感情の動きまで込めることができる。
2.スケール感を大きく出すことができる。

作品の第一印象にはこんな秘密があります。
次回は実際の作品を見ていきましょう。

| 空観解体新書 | 07:46 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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