材料の不思議 こんな日は月でも観に行こう
FC2ブログ

こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

材料の不思議

いつもブログをご覧の方からいただいたご質問について、今日は話します。

「材料があたえる印象も、教えてほしいです。象嵌で、なんであんなに目の印象が変わるのか、いつも不思議です。」

根付の素材※1として一般的な象牙と黄楊で比較しましょう。根付は眼を近づけて見るため、肌理の細かい素材が向きます。また硬く粘りのあるほうが精密な細工ができます。象牙と黄楊はとても適しています。

写真は作品「つき待ち」。多少デザインの差はありますが、素材の与える印象はいかがですか?

kukansozai.jpg

象牙の良さは透明感のある光沢が特徴です。左刃という特別な刃物を使用します。
黄楊と違い耐久性があるので表面に細かな細工や透かしなどを入れることができます。
艶やかな肌合いには神秘的な魅力を感じます。
西洋的な題材や細密さが必要なときは象牙を使っています。

一方、黄楊の特徴は温かみです。大らかな作風の方が木のよさが引き立ちます。
運慶の仏像などを見ていても表情や衣文などうまく省略し、細部を連想させます。
ちょっと離れて見たときのボリューム感は、象牙よりも存在感を感じます。
少し滑稽なキャラクターなどに良く合います。
私は彫っていると木の持つ温かみが何より和むので木の方が好きです。

象嵌については別の機会に改めて述べますね。

※1根付に使われる素材は、一般的に黄楊、象牙、鹿角、漆などが一般的です。珍しい素材として猪牙、ウニコール(一角鯨の角)、セイウチの牙、檀木、陶磁器などがあります。ワシントン条約以降は象牙の代替品として、タグアナッツ、マンモス牙、コハク、白蝶貝、各種輸入木材など様々なアプローチがなされてきました。

| コラム | 06:15 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT