越冬 こんな日は月でも観に行こう
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こんな日は月でも観に行こう

小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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越冬

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越冬
~飢えと寒さのなかで~
H3.0cm×W4.8cm×D3.8cm
マンモス牙、ルビー 2009

ある冬の厳しい寒さが続くなか、白鳥の親子がいました。ついには食べる物もなくなり、飢えと寒さでヒナが瀕死の状態になってしまいました。そのとき母鳥は自分の胸を嘴で突き流れ出る血を我が子に与えたという物語がヨーロッパに古くから伝わっているそうです。

自らの胸を突いた母鳥は命を落としたのかもしれません。
それでもなお我が子に授けたかったものは何だったのでしょうか?

その話を初めて聞いたとき、私は亡き母を思い出し涙しました。私が学生のころ母は毎月田舎から野菜や米、牛乳から玉子(当然割れてます)まで送っていました。「こっちでも買えるからいいよ」と何度言っても送る母。社会人となりそのことを忘れてしまうころ、突然帰らぬ旅路につきました。

親から子に残し伝えるべきもの。世代を超えて受け継ぐ価値観。果たしきれなかった夢や使命。
この世で生きているということは、誰かの犠牲や無償の愛で生かされていることではないかと、私は思います。

私はこの話にひとつ加えました。「その流れ出る血は宝石となり母鳥の胸元で輝いていた」と。作品には3粒のルビーを入れました。3という数字は、西洋ではトリニティ(三位一体)、東洋では物事の始まり(天地人)を表すとされます。また3という数字は特別で、人間の理想として語られる「真善美」と重ねています。

少し大きな話になりますが「越冬」というタイトルのように、現在のこの厳しい社会不況のなか次の世代に、大人たちが残すのは自らが体験した痛みを文字通り胸襟を開いて語ることなのかもしれません。多くの情報が日々流されるメディア社会のなか、誰かほかの人が語った上辺の言葉ではなくて、自らが言葉で伝えることで新しい未来が開けるのです。

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