作品解説に載せることのない作家の動機 「越冬」 こんな日は月でも観に行こう
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小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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作品解説に載せることのない作家の動機 「越冬」

091107_0554~01作家が作品を作りだす動機はいろいろありますが、どうしても彫らないと気が済まないという強迫観念に駆られることがあります。今日はちょっと深い話になりますが、先日の「越冬」にまつわる、創作の舞台裏を紹介します。

8月のある夜、夢のなかでやり場のない憤りのため午前2時過ぎに目が覚めました。夢の内容は何人か男たちが家を作るのにどうも人柱を使っていたようなのです。明らかに理不尽な状況の中で、たまたま通りがかった私は人柱にされる人を救おうと銃などの武器で必死に闘うんですが男たちは化け物に変わって追いかけてきました・・・そこで目が覚めたのです。

自分が見ている前で何もすることができず、自分の無力の正義を責めるだけでした。自分が失敗した報いを受けるなら納得もいきますが、自分には何もできないときの失望感は言いようもありません。
その後眠れなくなり、創作をしたり、スケッチをしたり、散歩したりして朝がしらじらと明けてきました。

マスコミでも関係のない人を無差別に狙った事件などを取り上げていますが、もし自分がその関係者になったとしたら同じような憤りを覚えるに違いありません。大きく言えば自分が知る知らないにかかわらず、地球規模で環境破壊を行ってきているともいえます。

人間は、自己実現のために生きているのか、他者のために自分を犠牲にすべきなのか、助けることができない正義とはなんなのか?または私が大切な人の犠牲にもなれずにその人を別れるとしたら、僕は何を教訓とするべきなのかと。究極の質問を迫られた思いでした。

だからこそ自分を大切にする気持ちで、他の人にも同じ気持ちで接すること。
自分を犠牲にしても伝えたい大切なもの、受け継がれるべきもの。
未来を憂うのではなく、悔いのないように今できることをやるしかないと思うのです。

そこで思い出したのが、白鳥の話です。
とても寒く、食べるものを枯れ果ててしまった冬、白鳥の親子がいました。
厳しい寒さと飢えにどうすることもできず、親鳥は自らの胸をくちばしで突きました。
そこから流れる自らの血を子供に飲ませているという話です。
無償の愛はとてもシンプルに、とても深く心に響きます。

私は作品でしか形を残すことができないので、その白鳥の話を根付にすることが私の人生でどう生きるべきなのひとつの指標だと思えたのです。

ひとつの根付がこんなことから始まることもあるのです。

写真は製作途中の「越冬」の後ろ姿。母鳥が疲れ果てて羽繕いもできない様子を想い、羽をところどころ乱れさせています。

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