根付鑑賞キーワードその4 ファム・ファタル こんな日は月でも観に行こう
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小さな変化に心を傾けてつづる空観流ひとりごと

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根付鑑賞キーワードその4 ファム・ファタル

空観 夕顔やはり師走は何かとせわしないものです。

今日はファム・ファタル(運命の女)について。ファム・ファタルは19世紀末美術や文学の世界で男を惑わし虜にする女性を指しました。たとえばサロメやメディアなど男たちを支配し、官能性と残虐性を持った女性として描かれました。

怖いけれど惹きつけられてしまう妖しい魅力。

歴史上、神話上登場する美女の多くは、男性の運命を変える存在です。イブの食べたリンゴが原罪が課せられ、パンドラの箱から災いが蔓延し、ヘレネはトロイ戦争のきっかけを作り、メデューサは人々に呪いをかけ、ユーディットは残忍な方法で祖国を守る。

何も西洋だけでなく東洋においてもファム・ファタルは登場し、鳥羽上皇の寵愛を受けた玉藻前(九尾の狐)や恋するあまり蛇に変身し安珍を焼き殺す清姫、傾城傾国の美女は数多く描かれています。源氏物語第四帖の「夕顔」もその一人でしょう。

頭中将からは常夏の女と呼ばれた側室でしたが、その後正妻の脅しで別れて行方不明になった夕顔は、光源氏に愛されながら、六条御息所らしき物の怪にとり憑かれて光源氏の前で非業の最期を遂げます。その後残された忘れ形見の玉鬘(たまかずら)は光源氏も心奪われるほどの美貌の持ち主でした。光源氏は玉鬘を見ては夕顔のことを懐かむ場面があります。光源氏にとって忘れられぬ女性でした。

女性は、友達でもあり、恋人でもあり、妻でもあり、母親でもあり、子供でもあり、人生の師でもありとさまざまな顔を持っています。だからこそ運命を変えるような魅力を放ち、それが多くの芸術家を惹きつけるのかもしれません。

根付にもどうしても惹かれてしまう魅惑的なところがあるように思えます。

写真は現在彫り進めている荒彫り状態の「夕顔」。まだまだファム・ファタルの妖しさには程遠いですね(笑)。

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